タイル張りの検査

 外壁タイル張りの検査方法についてまとめました。

1. 外観検査

色調の不ぞろい、不陸、汚れ、割れ、浮き上がりのほか、目地幅、目地色、目地深さの不均一など

2. 打音検査

タイル用テストハンマーを用いてタイル壁面をたたき、その音によってタイルのはく離を判断する

3. 引張接着強度検査

① 試験方法

引張試験機を用いてタイルの引張接着強度を測定する(サンプリング)

② 試験体の数

100㎡以下ごとにつき1箇所以上とし、かつ全面積で3箇所以上

③ 試験体の大きさ

測定するタイルの大きさが小口平の大きさより大きい場合は、タイルを小口平の大きさに切断し小口平の大きさとする。小口平以下のタイルの場合はタイルの大きさとする。

④ 判定

下記の合格基準を満たすこと

  • 引張接着強度の全ての測定結果が0.4N/m㎡以上(タイル先付けの場合0.6N/m㎡以上)
  • コンクリート下地の接着界面における破壊率が50%以下

タイルの引張接着強度試験の実施状況


剥離界面の状況(コンクリート下地の接着界面における破壊率100%のため不合格)

補足


1)JASS19の2012年改訂の要点

  • 有機系接着剤によるタイル後張り工法を新設
  • セメントモルタルによるタイル後張り工法において、接着強度検査の判定は、従来の基準に加え、破壊状態(コンクリート接着界面破壊50%以下)の基準を追加
  • コンクリート下地、モルタル下地、パネル下地など下地の種類別にタイル張りの手順を記載

2)タイル裏足の凹凸面積比率(参考値:実測が望ましい)

  • 凸部:凹部=55:45程度

3)破壊率について

  • 竣工時初期にモルタルの凝集破壊が支配的でも、経年後には、コンクリート下地の接着界面破壊に破壊モードが移行する傾向があるとされている(JASS19)。

参考文献


建築工事標準仕様書・同解説JASS19陶磁器質タイル張り工事(日本建築学会)
建築改修工事監理指針(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)